好きな曲は育つ
笛吹の皆さんへ。
好きな曲、レパートリーは皆さん色々とあると思うんですが、
ずっと長く吹いている曲って、ありますね。ありませんか?
学生の頃に先生に課題としていただいて、その時は課題だから一生懸命勉強して。発表会とか試験の曲だったりして。
そんな曲が、その後、例えば5年経った頃に演奏会に載せ、10年経ちまた演奏会に載せ、もっと経ち、もっともっと経ち…
フルートの曲って、やっぱりたくさんあるので、なかなか同じ曲をコンスタントに頻繁に吹いていることは少ないのでは、と思います。だからやっぱり、大きく間が空いてしまったりする。
でも、なぜか、また思い出して吹く。きっと、よく吹きたくなる曲、自分のお気に入りのような曲って、あると思います。
そういう曲は、自分の成長に伴って成長してくれている感じがします。演奏に関する、例えば表現力とかテクニックとかそういうのだけではなくて、人生経験とかそういうものが一緒にくっついてきている。人生経験が、フルートでの演奏にどのように絡んでいるのか、ちょっと説明できないですけれど。でも、何かがくっついてきている。
ずうううっと以前に、オネゲルの牝山羊の踊りを始めて演奏会で吹く機会がありました。全曲ソロの演奏会で、私しか舞台にいないので、好きなようにトークを交えながらさせていただいた演奏会。最初のひとフレーズの私のイメージを、身振り手振りを交えて話してから、吹かせていただいたように記憶している。
その後も何度か演奏する機会があり、その度に私のイメージをお話ししてから演奏させていただいたと思う。オネゲルのフルートソロの曲なんて、いきなり吹いても何が何だか、という感じになりそうだし(と私は思う)。
そこで、今回の提題なんですが、そんなふうに愛着を持って吹き続けている曲は、吹くたびに、自分と一緒に育ってるなあと思います。初めて勉強して先生とかの前で吹いた時、発表会や演奏会に載せた時、その次、その次。だから、やはり、早いうちにいろんな曲に触れて、その曲を育てる土台をまず作っておいて欲しいなあと思う。そして、しばらく忘れてて楽譜を広げてなくても、時々思い出して、吹いてほしい。
きっと何かのきっかけがあって、「昔吹いた」曲を思い出すんでしょうね。その、「昔吹いた」という状況は、できるだけ早く、作っておければ良いなあと思います。それだけ、育つ余地が、育つ時間、育てる時間が増えるから。
一度知った音楽は、思い出すたびに、育っていくと思います。
そしてね、年月は、放っておいても経っていきますから、だから、
一度種を植えた音楽が、将来どんな風に育つか、ただ楽しみにしてたら良いのだと思います。
ちょっと思いついたことを書いてみました。
今日も皆さん、楽しく笛が吹けてますように。
フルートを吹く時間が取れた時
前の記事の公開のボタンを押した瞬間に、そうだ、これも書いておかないと、と思いましたので、連投で。
いざ、フルートを吹く時間が取れたら、ぜひ、
基礎練習をたくさんやってください。
例えば、今から2時間フルートが吹ける、と思ったら、1時間半、基礎練習をやるつもりで、練習を始めてください。そしたら、途中でもう、どうしても基礎練習を切り上げたくなっても、1時間くらいは基礎練習ができると思います。
「それじゃあ、ちょっとしか曲を吹く時間がないじゃないか!」と思いましたか?
基礎練習をしていれば、曲自体の練習は、実はそんなにしなくていいかもしれないです。その、曲の練習をする少しの時間で、何らかのできない箇所、指の回らない箇所、インターバルがうまくいかない箇所、などがすぐに見えますから、
それを、基礎練習でみっちりやればいいのです。
音楽を作るのは、楽器がない時でもできる、とお話ししてますよね。だから、ぜひ、(もう一度フォントを大きくして)
時間がある時は基礎練習にたっぷり時間をかけましょう。
フルートを使って音楽を奏でるには、体をフルートを吹ける状態にまずしておかないと、できないのです。だから、基礎練習はやっぱり必要です。基礎練習をしておけば、あとはなんでも出来る、くらいに思っておいてもいいかもです。
では、enjoy playing the flute today!
フルートを吹く時間が取れない時
フルートを吹くことをメインのお仕事にしていなければ、フルートを吹く時間を捻出するのはきっと大変だと思います。
それでも、フルートを吹きたい、ですよね。
練習したい。だって、あの曲を吹きたい。ああ、レッスンがもうすぐだ。
でも、楽器を出したりしまったりする時間が取られてしまう。つい、億劫になってしまいます。思い切って音を出せる時間帯に自由時間がなかなか取れない、という場合もあります。
そんな時は、ぜひ、楽器なしで、楽譜とともにイメージトレーニングをしてみてください。
楽譜を読む作業は、楽器がなくてもできます。逆に言えば、楽譜をしっかり読むためには、楽器を握ってない方が良いかもしれないです。楽譜を読む作業は、文章を読むよりも、「行間を読む」作業が必要になると考えます。なので、楽器を手に持っていない方が、「読む」ことに意識を向けることができやすくなります。
この作業、朝の頭がスッキリしている時や、夜リラックスした時にやるといいです。どちらも、まだ楽器を組み立ててガンガン鳴らす、という時間ではないですよね。こうやって、ちょっとした時間を有効に使って音楽を組み立てていくといいと思います。
もちろん、通勤・通学途中の電車やバスの中でされてもいいです。慣れれば、耳をイヤフォンなどで塞がなくても、スッと音楽の世界へ入って行けるようになります。アラームなどをセットしておかないと、降りるのを忘れますのでご注意を。
この、楽譜を読む作業をしっかりしておけば、いざ、楽器を組み立てて練習ができるときは、「吹く」ことに集中できます。
さあ、だんだん言い訳ができなくなってきますね。ぜひフルート、楽しみましょう。
超ゆっくり
今日は練習パターンのサジェストを。
楽器を組み立てて練習を始めたものの、実は今日は気分がのってないなあ、と気づいた時。さっきまでノリノリでやってたのに気分がころっと変わって、吹いてるのがつまらなくなった時。
でも、せっかく楽器組み立ててるし、せっかく音出しして身体の準備は整ってるので、今練習をやめたくないな、という時。
なんでもいいので、パッセージを探して、そこを超ゆっくりで吹くのをやってみるといいです。
速い楽章の16分音符羅列の場所でもいいし。
ずっとじっくりさらおうと思ってたのになぜかまだ取り組んでなかったパッセージもでもいいし。
ポイントは、超超ゆっくり、です。
ちょっと自分との我慢くらべの様な感じで、これでもか、というくらいゆっくり吹く。そして、これでもか、というくらい続ける。
ぽんっ、と、ある瞬間がきます。そこでその箇所をインテンポで吹いてもいいし、もうその箇所の練習を中断してもいい。次に吹きたい箇所を思いつくかもしれない。
こつは、少しだけ「これでもか」と感じるくらいまでやることです。
おっ♪(なんか嬉しい)という感じがすると思います。
自分の鳴らしている音を聴く
自分の音を聴く、いろんな方法があります。
録音をして聴いてみるのは、試しやすいし、わかりやすい方法です。自分が奏でた音が、録音され、機械を通してスピーカーやイアフォンを通して、リスナーの耳にどの様に届くか、ある程度確認することができます。皆さんもうすでにやっていらっしゃると思うし、さまざまなスキルアップに有効な方法だと思います。
今日は、自分の、今鳴らしている、出来立てほやほやの音を聴くことについて書きます。
自分の声を録音したものを聞くと、変な声に聞こえるとよく言われます。普段自分の声と思って聞いている音は、口から発生した音が口の外へ出て、それが自分の周りのものに反響して自分の耳に聞こえてくる音と、自分の体の中から直接聞いている音との混ざったものなので(専門ではないので、正確な説明ではないですが、そういう感じだと思います)、録音された声には、自分の内側から聞こえてくる響きが混ざらないので、少し違った音に聞こえるという理由です。
フルートを吹く時も、それに近いことは起こっていると思います。音を出している時の振動している楽器が体に接しているので、体の内側を通して聞こえてくる音はあると考えます。ただ、自分の喉が直に発する自分の声を聞く時に比べると、体の外へ出た音を、耳を通して聴いている分量は多いと思います。
自分の音を聴く。聴いているようで、聴いていないことが多いではないかな、と思います。自分の鳴らしてる音は、「意識的に聴くこと」を意識しないと、案外聴いてないものです。聴こえてくる音って、意識しないでも勝手に聴こえてくるから。聴こうと思ってなくても、聴こえてくる、ので、聴いてるつもりになっている、つまり、あんまり聴いてない、聴けていない。
楽譜や運指に意識が行きすぎて、生の音に意識が集中しすぎて、響きを聴いてないこともありますね、特に、難しいパッセージを正確に吹こうと躍起になって練習してる時も、音の粒は確認してても響きは聴いていなかったりします。
冗談の様でも効果てきめんのショック療法があります。フルートをお風呂場に安全に持って行けるのであれば、一度お風呂場で吹いてみてください。
よく、お風呂場で歌うと気持ちいい、って言いますよね。
反響の多い場所で吹くと、外に出た音が跳ね返ってくる音を聴くことができます。力んでバリバリと吹くと音が割れて逆効果になる可能性もあるので、軽くそっと、「ふっ」と一音吹いた音の、残響を聴いてみる。
これは、部屋の隅へ行っても試すことができます。静かな部屋で、部屋の隅、角のところへ行って、その角に向かって、そっと小さく音を鳴らしてみる。自分の音が、部屋の隅の90度の角になっている左右の面にあたってはね返ってくる音を、聴いてみるのです。最初はわからないかもしれないですが、段々と、その返ってくる音を聴いている感覚がわかってきます。耳を育てるために、聴くことを思い出すために、時々やってもいいかもしれません。
注意事項が一つ。この、部屋の隅に向かって吹く方法は、音を聴こう、聴きたいな、と思った時にだけにやってくださいね。たまに、思いついた時に数分程度。他の時間は部屋の広い方へ向かって音を出してください。
出来立てほやほやの音って、自分でしか聴けないんですよ。なんて贅沢で素晴らしいことだと思いませんか?
イメージトレーニングについて
イメージトレーニングはとても大事だと考えます。客観的に見て聴いてて、これをやった瞬間に現れる差の大きさに、いつも驚かされます。
もしあなたが先生なら、生徒さんに試してみてください。催眠術か?と思うくらいの効果が出ます(小さい字で書いておこう)。
なんでもいいので、「その」気になって吹くこと。「その」は、どんな「その」でもいい。でもその「その」は、自分でそう決めないと設定されない。逆にいえば、自分でそう設定さえすれば、「その」条件になります。
「場」や「空間」の話だけではないのですが、「場」や「空間」で例えるとわかりやすいと思う。
ある程度に準備・練習した曲があれば、それを、自分がステージの上に立っていると思って吹く。ステージを想定しなくてもいいです、何か、今いるその練習の場とは違う場・空間をイメージする(もちろんその練習場でもいいんですが、これは例えばの話)。
「練習」をしている時、曲をさらっている時って、自分の周りには自分だけしかいない感じがしませんか?自分の周りが狭くなっているような、自分の体の周りに狭い幅の空間があるような、その中で吹いている感じ。
集中してさらっている時はそれでいいと思います。そうやって自分の内に入り込んでする練習方法もあるはずで、私個人的には必要な方法だと思います。
その状態を意識的に広げるというか、自分の耳を外へ持っていくというか、自分を分離させて遠くへ飛ばして、その自分に自分の演奏を聴かせる、という感じかな。(その自分は何人いても構わない)
新しい曲の習い始めでも、数小節をさらってある程度その箇所を理解したなと思ったら、すぐやってみたらいいと思う。
(注:あまり早い段階でこれをやると、間違った解釈に基づく演奏に繋がってしまって修正するのに困るかもしれないので、まず楽譜を正確に読むこと、運指や音価はちゃんと読んでくださいね)
これを、ロングトーンでやってみてください。結構ハマります(どっと疲れるかもしれませんのでほどほどに)。
イメトレは面白くて効果的です。またパターンを書き出してみようと思います。
部屋の片付けがフルートを吹くのに有効な話
もし、最近フルートを吹いてないなあ(吹きたいのになあ)と思う方がいらっしゃったら、ぜひ、
部屋の片付けをしてみてください。
これは、最近吹いてない、というだけではなく、もう一度フルートを吹こうかな、と思っている人にも、理論上有効かなと思います。
思い立った時に、フルートをさっと組み立てられる場所があるのとないのとでは、練習頻度に大きく差が出ると、思いませんか?
フルートは繊細な楽器ですから、やはりケースを開ける時は、安定した水平な場所が欲しいですし、楽器のケースとケースカバー、取り出した楽器の部分をゆったりと広げられる場所が欲しいです。高さも、立った自分の腰より低いと少し不便ですし、あんまり高いと楽器の扱いが丁寧にできにくくなります。
つまり、そういう場所を普段から確保しておかないと、いざインスピレーションが湧いて「あのフレーズを吹こう♪」と思っても、まず楽器を広げる場所を作ってから、という状況になり、せっかくのインスピレーションが彼方へ飛んでいってしまう。
そして、前述したように、もう一度フルートを吹こうかな、と思いついた方は特に、ずっと吹いてなかったのであれば、フルートを広げる場所なんてずっと作ってなかったでしょうから、やはり、そこから攻めるのはフルート再開の第一歩だと思います。
空間を作ることは、こうした物理的なことだけではなく、感覚的なこともあります。それについてはまた別の機会に。
さ、部屋の片付けしましょうか。